読書メモ:吉田修一 鷹野一彦シリーズ

更新日:2023年09月18日
カテゴリー:読書 


太陽は動かない

現代のスパイ活劇小説。

主人公は日本の産業スパイ組織AN通信に所属する鷹野一彦(たかのかずひこ)。 部下の田岡亮一と共に、韓国人産業スパイのデイビット・キムや謎の日本女性AYAKOらと新たな太陽光発電技術の争奪戦を繰り広げる。

話の展開がシンプルなので一気に読み進められる。 登場人物が多過ぎて、脇役の描き方が薄っぺらな印象を受けるが、スパイ小説としては許せる範囲。 続編も読んでみようかと思う。 (2023年06月25日)

森は知っている

「太陽は動かない」の続編だが、描かれているのは前作より前の話で、まだ少年の鷹野がAN通信の産業スパイになるまでが描かれる。

17歳の鷹野は暮らしているのは、石垣島の南西60キロメートルに浮かぶ孤島、南蘭島(ならんとう)。 この島には鷹野と同じように産業スパイの訓練を受けている柳や彼らの教育係で監視役でもある徳永も暮らしている。

AN通信の産業スパイは18歳になるときに心臓に小型爆弾を埋め込まれて独り立ちするが、そのための最後の実践訓練として、フランスの水メジャー企業のV.O.エキュの情報を鷹野は探らされる。 (2023年09月10日)

ウォーターゲーム

産業スパイ鷹野シリーズの3作目。 2作目「森は知っている」で描かれた水メジャーが仕組んだ日本の水利権獲得のその後から今回の物語は始まる。 ただし、時間的には1作目「太陽は動かない」の後の話。 いきなり日本のダムがダイナマイトで爆破されるシーンから始まり、ちょっと派手すぎる気もするが、スパイ小説としては許される範囲か。 水メジャーの狙いは日本に留まらず、中央アジアの水問題まで広がっていく。

AYAKOやデイビット・キム、柳なども登場し、オールキャストで話は展開する。 また、優秀だが心臓に異常がありAN通信に捨てられた若宮真司がだいぶ目立っていて、今後関わってきそうな雰囲気。 (2023年09月18日)