読書メモ:佐伯泰英 居眠り磐音 決定版シリーズ

更新日:2022年05月27日
カテゴリー:読書 


1 陽炎ノ辻(かげろうのつじ)

新たに加筆修正された決定版のシリーズ第1巻。

田沼意次の時代。 竹馬の友を討ち、浪人となった主人公、坂崎磐音。 流れてきた江戸で新貨幣がらみの陰謀に巻き込まれるが、持ち前の穏やかさと剣の腕で立ち向かって行く。 江戸っ子の人情と痛快さが心地よい時代小説。 (2020年5月31日)

2 寒雷ノ坂(かんらいのさか)

江戸の風情や暮らしぶりの描写が程よい。 ただストーリーはイマイチ。 短編集ではないのだが、剣客坂崎磐音が用心棒として活躍する短い話が続く。 それぞれの話はちょっとずつ関係している分、かえって一つ一つの話はまとまりがなく中途半端。 (2020年6月5日)

3 花芒ノ海(はなすすきのうみ)

国家老の陰謀で、竹馬の友を失い、藩を離れ、江戸の長屋暮らしの坂崎磐音。 その陰謀を暴き阻止することが今回の話の大きな柱。 いつものように、すっかり馴染んだ江戸の暮らしぶりや風情が織り交ぜられているが、前巻ほどストーリーが細切れになってなく、ちょうど良い加減に仕上がっている良書。 (2020年6月25日)

4 雪華ノ里(せっかのさと)

藩の御家騒動を解決した坂崎磐音。 今回は、病気の父親を助けるために身売りした許嫁を探す旅に出る。 追いつきそうになるが、今一歩及ばず、九州、京都、金沢、江戸と舞台は移っていく。 今一歩が1回、2回ならスリルがあって良いが、そう何度も続くとあざとさを感じる。 しかし、テンポ良く進むので、さらっと読み切れる。 最後、江戸に戻った様子はほんわかして、長屋暮らしも良いなと思わせる。 (2020年7月19日)

5 龍天ノ門(りゅうてんのもん)

前作で長旅から戻った坂崎磐音。 今回の舞台は正月を迎えた江戸。 身売りした許嫁の居場所はわかったが、身請けをするには千両もの大金が必要。 見守るだけの坂崎磐音だが、いつものように騒動に巻き込まれていく。

このシリーズは毎巻、短編集と言っても良いくらいに独立した話が含まれる。 今回はそれぞれの話が丁度良い分量で、浅すぎず深すぎずの物語が続く。 そして、江戸の庶民の暮らしぶりの描写は相変わらず味があり、想像力を掻き立てられる。 (2020年7月21日)

6 雨降ノ山(あふりのやま)

あいかわらず短編をまとめたような一冊だが、それぞれの話の分量はちょうどよく、繋がりも自然に感じになってきた。 毎週単独の話だが、なんとなく連続しているテレビドラマのようだ。

今回も話は盛り沢山。 隅田川の花火船に難癖をつけて金を脅し取るあやかし船から始まり、年寄りに優しく近づいて金をだまし取る騙り、世話になっている今津屋夫婦の大山詣での同行と続き、最後は偽の大判で質商や両替商から大金をだまし取る旗本の話。 (2020年7月30日)

7 狐火ノ杜(きつねびのもり)

今回も盛り沢山の話が並ぶ。

紅葉狩りを楽しむ料理茶屋で暴れる旗本の次男坊たちを懲らしめる話、三味線職人の親の仇を海上の賭博場で討つ話、解体新書の作者の一人中川淳庵を守って同行する成田街道の行徳浜へ旅の話、貧乏御家人の不幸な嫁の話、狐火見物での摩訶不思議な話。

それにしても主人公の坂崎磐音はあまりに騒動に巻き込まれ過ぎでは・・・まあ、娯楽小説だからいいのか! (2020年8月1日)

8 朔風ノ岸(さくふうのきし)

江戸の正月の風情を感じさせながら、今回も坂崎磐音は様々な騒動に巻き込まれていく。 正月早々の大店での18人毒殺、渡世人による修禅寺の賭場を賭けた争い、蘭医中川淳庵の誘拐、吉原の太夫選びに絡む絵師殺人と続くが、どれも短いのでテンポよく読み進められるのはいつもの通り。 (2020年11月6日)

9 遠霞ノ峠(えんかのとうげ)

親元から離れて鰻屋へ奉公に出る幸吉の様子や吉原の太夫選びなど、いつものように江戸の日々の生活が所々に感じれられるところが良い。 そして、身投げまで出した釣り銭騙りの捕物から、渡世人の用心棒、豊後関前藩の新たな御家騒動の兆しまで、坂崎磐音の周りは相変わらず騒がしい。

トピックが多すぎて、それぞれの描き方が浅い気もするが、気楽に読むにはちょうど良い進み方かも。 (2020年12月2日)

10 朝虹ノ島(あさにじのしま)

坂崎磐音が今回立ち向かうのは、女芸人を騙してどさ回り一座に売り飛ばす一味、 御家騒動に揺れる因幡鳥取藩、江戸城の石垣普請に絡む悪徳奉行。 いつものようにトントンと進むが、捕物の最中に愛刀の包平が刃こぼれを起こし、研ぎ師に預ける話がスパイスになっている。 (2020年12月4日)

11 無月ノ橋(むげつのはし)

前巻の立ち回りで刃こぼれを起こした坂崎家伝来の名刀備前包平。 磐音は預けていた研ぎ師から包平を無事に受け取るが、そこで難癖を付けていた直参旗本の用人を諫めて恨みを買う。 そして徳川家に禍をなすという妖刀勢州村正に南町与力笹塚孫一が斬られる。 ここまでがほぼ前半。 後半は別の旗本による女郎屋乗っ取りの悪巧みや元許嫁の白鶴大夫の騒動に巻き込まれる。 (2020年12月6日)

12 探梅ノ家(たんばいのいえ)

出入りの魚屋から売れ残った秋刀魚を長屋総出で買いたたき、もうもうと煙を立てて七輪で焼く。 そんな江戸の風情が織り交ぜられているのがこのシリーズの良いところ。 それにしても秋刀魚が一般的になったのは江戸時代後半からだとは知らなかった。

いつものように事件が続くが、一つ目は黒頭巾の押し込み一味。 吉祥天の親方が鍵となる。次は今津屋の後添え探しの鎌倉への旅と続いていく。 今回は血生臭い事件が少なくて良いな。 (2020年12月11日)

13 残花ノ庭(ざんかのにわ)

江戸時代、日暮里あたりには大店の隠居所が多く、息子に店を任せた隠居たちが風雅に暮らしている。 そういった隠居たちへの強請りから今回の話は始まる。 それから、いつものようにいくつかの出来事が続いていくが、十代将軍家治の日光社参のための22万両の捻出、備前長崎湊の阿蘭陀商館長フェイト外科医チュンベリーの将軍への御礼言上と大物が今回は続く。 そして、いよいよ田沼意次の影が出てきた。 (2020年12月15日)

14 夏燕ノ道(なつつばめのみち)

前巻でも重要なトピックだった十代将軍家治の日光社参がいよいよ始まった。 しかし、話の中心は、密かに江戸を脱出して日光へ向かう西の丸こと次期将軍の家基。 坂崎磐音とその仲間たちが、暗殺を企む田沼意次の刺客に立ち向かう。

それにしても、なんか急に水戸黄門っぽくなってきたな。 弥七ならぬ弥助も登場するし。 (2020年12月19日)

15 驟雨ノ町(しゅううのまち)

今回の騒動は4件。豊後関前藩の新たな御家騒動の終盤、磐音の江戸暮らしの先生である鰻屋職人見習いの幸吉の失踪、甲斐で捕まった盗賊の親分鰍沢(かじかさわ)の満ヱ門の江戸への護送、そして今津屋への押し込み強盗。 いずれも短中編だが、この長さにすっかり慣れたな。 (2020年12月21日)

16 螢火ノ宿(ほたるびのしゅく)

坂崎磐音が後見を務める今津屋の旦那吉右衛門の再婚に関わる騒動、そして磐音の幼馴染みで許嫁であった吉原の白鶴太夫の身請けとそれに関わる殺人事件が今回の主要な話。 (2021年1月4日)

17 紅椿ノ谷(べにつばきのたに)

12巻から続く今津屋の旦那吉右衛門の再婚話の完結。 いよいよ祝言だが、やはり厄介ごとが坂崎磐音に降りかかる。 そして、佐々木道場の改築に絡む騒動やおこんと磐音の湯治保養へと話は続く。 湯治先は「上野(こうずけ)と越後境(えちござかい)の三国峠下」の法師の湯。 おそらく、今は上信越高原国立公園にある法師乃湯だと思われる。 その名前から予想される通り、弘法大師が発見した古湯だそうな。 (2021年1月4日)

18 捨雛ノ川(すてびなのかわ)

5ヶ月ぶりに読んだが、すぐ物語の世界に入り込める。 これがこのシリーズの良さかも。 とにかく、肩肘張らずに、気楽に読み進められ、そこそこ面白い。

今回もいつものように幾つかの(それほど大事件でない)騒動が坂崎磐音の周りで起こる。 改築中の佐々木道場の地中から江戸幕府以前の古甕が見つかる話、年末の賭場の大捕物、旗本の借金取り立て、佐々木道場師範本多鐘四郎の婿入り話、今津屋女中おそめの縫泊職人への弟子入り、唐人の暗殺者など。

19 梅雨ノ蝶(ばいうのちょう)

今回の話は、砂糖漬屋の番頭殺しと付け火事件、佐々木道場の改築杮落しと大試合、佐々木道場の後継者、刺客に不覚をとった坂崎磐音、佐渡銀山を抜けた仲蔵一味。

20 野分ノ灘(のわきのなだ)

今回の話は、深川暮らしの活計を支えた足掛け6年にも渡るウナギ割きの終わり、二人目の刺客との正々堂々の死闘とその顛末、そしてそれに絡む木下一太郎の蟄居処分、おこんを連れて豊後関前藩の御用船での故郷への旅。

21 鯖雲ノ城(さばぐものしろ)

今回の話の舞台は豊後関前藩。 磐音は同行したおこんと松平辰平と一緒に坂崎家に滞在し、久しぶりの故郷で懐かしい人たちと交流する。 しかし、関前藩では、上手く行き始めた物産所の利益に絡む新たなお家騒動が起き始めていた。 磐音の父である国家老の坂崎正睦、そして正睦の腹心である郡奉行の東源之丞の暗殺未遂と物騒な事件が続く。 その一方で、磐音とおこんの仮祝言や坂崎家の跡取り探し、磐音が通った中戸信継道場など、明るい話もしっかりちりばめられている。

22 荒海ノ津(あらうみのつ)

豊後関前藩を旅立った磐音とおこんは、江戸へ向かう前に、筑前福岡に滞在している。 関前藩の騒動で世話になった箱崎屋に請われてである。 いつものようにここでも道場破りや駆け落ちなどの騒動に巻き込まれる。

今回のもう一人の主人公は、江戸で磐音の帰りを待つ、品川柳次郎。 当主と嫡男が家を出た品川家は廃絶の瀬戸際であった。 さらに柳次郎の幼馴染み、椎原お有が弟の学費工面のために無理やり結婚させられそうになり、柳次郎の元に逃げて来る。 (2022年3月14日)

23 万両ノ雪(まんりょうのゆき)

今回の主役は南町奉行所の年番方与力、笹塚孫一。 笹塚がまだ当番方寄木だった6年前から話が始まる。

新宿追分で塩・味噌・麹などを商う麹屋へ押し込みが入った。 笹塚を筆頭とした捜査により盗賊の頭と思われる万両(まんりょう)の親方こと大次郎は捕まるが、取り調べでは頑として押し込みの下手人であることを認めなかった。 結局、大次郎は別件の罪だけを問われて島流しとなり、奪われた数千両の行方は知れずに月日が流れた。

そして、6年が経ち、大次郎は島抜けを謀って、江戸へ舞い戻った。 磐音不在の江戸で、品川柳次郎らの力を借りて、笹塚は6年前の決着をつけるため動き出す。

なお、後の方では、磐音とおこんも江戸に帰着して、佐々木道場後継の話も進む。 (2022年5月12日)

24 朧夜ノ桜(ろうやのさくら)

磐音の友人、蘭方医の甫周国瑞(ほしゅうくにあきら)と桜子の祝言から始まる。 一方、おこんは速水家の養女に入り、いよいよ磐音への嫁入りに備える。 尚武館の若先生となった磐音を狙う刺客が続く中、磐音とおこんの祝言が執り行われる。 (2022年5月22日)

25 白桐ノ夢(しろぎりのゆめ)

西の丸に入り込んだ、奸三郎丸が率いる忍者集団。 次期将軍の家基の側近の謎の死が続く。 そして、家基を守る磐音との死闘が始まる。 (2022年5月27日)

26 紅花ノ邨(べにばなのむら)

未読

27 石榴ノ蠅(ざくろのはえ)

未読

28 照葉ノ露(てりはのつゆ)

未読

29 冬桜ノ雀(ふゆざくらのすずめ)

未読

30 侘助ノ白(わびすけのしろ)

未読

31 更衣ノ鷹 上(きさらぎのたか)

未読

32 更衣ノ鷹 下(きさらぎのたか)

未読

33 孤愁ノ春(こしゅうのはる)

未読

34 尾張ノ夏(おわりのなつ)

未読

35 姥捨ノ郷(うばすてのさと)

未読

36 紀伊ノ変(きいのへん)

未読

37 一矢ノ秋(いっしのとき)

未読

38 東雲ノ空(しののめのそら)

未読

39 秋思ノ人(しゅうしのひと)

未読

40 春霞ノ乱(はるがすみのらん)

未読

41 散華ノ刻(さんげのとき)

未読

42 木槿ノ賦(むくげのふ)

未読

43 徒然ノ冬(つれづれのふゆ)

未読

44 湯島ノ罠(ゆしまのわな)

未読

45 空蟬ノ念(うつせみのねん)

未読

46 弓張ノ月(ゆみはりのつき)

未読

47 失意ノ方(しついのかた)

未読

48 白鶴ノ紅(はっかくのくれない)

未読

49 意次ノ妄(おきつぐのもう)

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50 竹屋ノ渡(たけやのわたし)

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51 旅立ノ朝(たびだちのあした)

未読