読書メモ:大山誠一郎

更新日:2022年05月18日
カテゴリー:読書 


密室蒐集家

刑事たちが頭を悩ますような密室での事件が発生すると、どこからともなく現れる密室蒐集家。 関係者の話を聞いただけで立ち所に密室の謎を解き、いつの間にか消えてしまう。

本作は短編集で、1937年の事件を扱ったの「柳の園」に始まり、同様に1953年の「少年と少女の密室」、1965年の「死者はなぜ落ちる」、1985年の「理由ありの密室」、2001年の「佳也子の屋根に雪ふりつむ」の5編が収録されている。 すなわち、密室蒐集家は10年程度の間隔を開けて現れる。 しかし、その姿形はいつも変わらず、歳も取っていないのである。 (2022年5月14日)

赤い博物館

刑事を天職と思っていた捜査一課の若い刑事、寺田聡巡査部長は捜査資料を現場に置き忘れ、ネットに流出されてしまった責任を問われて警視庁付属犯罪資料館に左遷された来た。 通称<赤い博物館>で待っていたのは、雪女を思わせるクールビューティな館長、緋色冴子(ひいろさえこ)警視。 冴子は天才的な推理力を持っているが、コミュニケーション能力に問題があるため、優秀な助手を探していたのだ。 そのお眼鏡に叶ったのが聡だ。 冴子のほとんど説明のない指示に従い、聡は関係者からの証言を集め、15年以上前の事件を二人で解決していく。

実はこのシリーズの第2巻、記憶の中の誘拐を先に読んだ。 なかなか面白かったので、この第1巻を後から読んだが、こちらの方が力作だった。

第2巻と同じ短編集で、パンの身代金、復讐日記、死が共犯者を別つまで、炎、死に至る問いの5編が収録されている。 (2022年5月18日)

記憶の中の誘拐 赤い博物館

赤い博物館シリーズの第2巻。 警視庁付属犯罪資料館の館長、緋色冴子警視と捜査一課でミスを犯して犯罪資料館に左遷されて来た寺田聡がお蔵入りになった過去の事件の謎を解く短編集。 本巻には、夕暮れの屋上で、連火、死を十で割る、孤独な容疑者、記憶の中の誘拐の5編が収録されている。 (2022年5月3日)