読書メモ:真山仁

更新日:2022年10月22日
カテゴリー:読書 


売国

東京地検特捜部の冨永真一(とみながしんいち)検事は、大物政治家の大規模かつ長期的な収賄事件を追う。 贈賄元は米国で、日本に不利益となる情報提供やプロパガンダが行われてきたのではとの疑いがある。 また、宇宙航空研究センターで研究している、鹿児島大学大学院修士1年の八反田遥(はつたんだはるか)の目を通して、日米の宇宙開発競争のひずみが語られる。 二つの話は並行して進むが、宇宙開発というキーワードで繋がっていく。

と思って読み進めたが、それほど深く繋がらずに終わってしまった。 肩透かしを喰らった感じ。 また、題材からして重厚な物語を期待していたが、思っていたよりだいぶ浅く薄い印象だ。

続編があるようなので、そちらでより話は繋がってきて、物語も深まるのだろうか? (2022年10月9日)

標的

売国の続編なので、前作では薄っぺら感があった物語が深掘りされるのかと期待したが、東京地検特捜部の冨永真一(とみながしんいち)検事が引き続き登場するだけで全然違うテーマになっていた。

今回のテーマは高齢者福祉、そして政治家の汚職事件。 初の女性総理大臣を目指す越村みやびとその夫を中心に、ヘルスケア関係のビジネスで大成功した投資会社社長の楽田恭平(らくたきょうへい)や現職総理の黛新太(まゆずみあらた)などが様々な思惑で関わってくる。

冨永が調べている汚職事件を暁光(ぎょうこう)新聞クロスボーダー部記者の神林裕太(かんばやしゆうた)も追う。 冨永と神林の絡みを期待させる展開だが、前作と同様に深みはない。

また、登場人物のキャラ設定の示し方があからさま。 会話や行動の描写から登場人物のキャラを自然に読者に感じさせて欲しいのだが、直接的な表現や説明が多く、くどく感じる。 (2022年10月22日)