読書メモ:馳星周

更新日:2022年07月28日
カテゴリー:読書 


少年と犬

ご存知、2020年の第163回直木賞受賞作。

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県釜石市から南に向かって旅する犬。 旅の途中、震災に人生を狂わされた男、外国人の泥棒、壊れそうな夫婦、罪を犯した娼婦、死にかけている老人と出会い、癒していく。そして震災で心を閉ざした少年とその家族のもとへ。 (2020年12月29日)

月の王

舞台は上海。 時代はおそらく第二次世界大戦前。

フランスから来る一條公爵の令嬢綾子とフランス特務機関員の名簿を狙う各国。 立ち向かうのは上海にある日本の特務機関一の腕利き、伊那雄一郎(いなゆういちろう)が率いるグループ。 しかし、中国国民党が送り込んだ中国憲法の奥義を極めた杜龍(どゆーろん)とその弟子の四天王たちは別格だった。 それに対抗するため、天皇の護衛を務める月の一族、大上明(おおがみあきら)が日本からやってくる。

格闘シーンが繰り返し描かれるが、残念ながら野暮ったい。 大上や同胞たちの特殊性や異常さの描き方も題材を活かしきれていない。 それでも、読者を飽きさせないところは不思議だ。 (2022年7月28日)